実家に帰った折、妹が昔使っていたセーターを母から進められ、ありがたく持って帰りました。
妹は、結婚生活3年、30歳の誕生日を目前にして、病で亡くなりました。お洒落で綺麗な人でした。不器用で気の利かない私と違って、立ち回りも上手でユニークなところもあり、でも仲良しでした。妹は妹なりに、不器用でも、時としてパワフルに物事を進めていくところのある私は、どこか頼りになったのかもしれません。そして、やはり同じ家で同じ親に育てられていますから、世間の人より、結局は食べること、暮らすことのこだわりは、世の中に出る程に親しいのだと感じるものでした。
母は、子供三人、兄、私、妹の、妹を溺愛していました。母も要領の良い末娘で、ウマが合うところもあったのでしょう。子供の頃の写真を見ても、色白でお人形さんのようで、とても可愛らしいのです。
その愛娘を早くに失ったのですから、沢山の遺物にを処分できずに暮らしていて、お洒落な人ですから着るものもいっぱい。
持ち帰ったセーターは、大学受験の直前に、かわいくて暖かい服を受験の時に準備したいと、得意のおねだりをして買った物、私も良いなと思ったセーターでした。社会人になってからも、暖かいらしく、家で使っており、妹の象徴のような遺物でした。
それを持ち帰るように母から言われ、少し驚きもしましたが、大学受験前に準備して買って、多くの合格を修めた妹でしたので、息子の地方大学の受験の下見兼付き添いに、ゲン担ぎにでもありませんが着て行きました。長らく愛用していたのがわかる、着てきたセーターの中で一番温いです。
ご加護あってか、私は暖かく過ごせて、息子は地方大学の受験で合格を勝ち取りました。
セーターを手放した母には、一抹の淋しさも感じるのですが、来シーズンからもお世話になり、寒い実家の帰省には着て帰ろうと思います。